評価:(80点)
2022年7月1日に公開された映画『ゆるキャン△』
青春真っただ中の高校生を描いていたアニメの世界から歳月が流れ、社会人となったなでしこたちがある出来事をきっかけにキャンプ場を作ることに!というのが大まかなあらすじです。
正直社会人になった5人の姿を見ることに関して、アニメ『ゆるキャン△』シリーズの大ファンである私は抵抗がありました。
というのも、女子高生×キャンプで大ヒットした『ゆるキャン△』シリーズから女子高生の要素が抜けてしまったら、作品のイメージがガラッと変わってしまうのではないかと思ったからです。
しかし、実際映画を見終えて感じたのは「いつものゆるキャン△で安心した」でした。
以下、感想を織り交ぜつつ、映画『ゆるキャン△』について熱く語っていきたいと思います!
PV
ネタバレマシマシなので、未視聴の人はご覧になってから本記事を読んでいただけると幸いです。(映画『ゆるキャン△』はAmazon Prime Videoで見放題配信中)
目次
映画『ゆるキャン△』は時間の経過によるネガティブ要因を排除している
冒頭でも書いたように映画『ゆるキャン△』は社会人となったなでしこたちを描いた作品です。
地元の山梨で働く者もいれば、地元を離れ一人暮らしをしている者もいる。時間が経過すれば生活はガラッと変わるものです。
そして、生きとし生けるものは時間が経てば年をとり、生を終えます。
物語の終盤でリンのバイクが故障してお父さんが変わりのバイクを出してくれるシーンがありましたよね。
そのシーンに至るまでにリンのおじいちゃんが登場しなかったので、もしかしておじいちゃんは死んでしまって、お父さんが出してくれるのはおじいちゃんの形見のバイクなのでは?と思ったのは私だけでしょうか。(結局、取り越し苦労に終わりましたが)
恵那のペットであるちくわもおじいちゃん犬になり、いつお別れが来てもおかしくない年齢です。
しかし、作中では老いを感じさせる描写はあるものの、元気いっぱいな姿を見せてくれます。(癒される)
極め付きは5人の容姿。
キャラデザ担当者の絶妙なさじ加減や声優さんの素晴らしい演技によって大人っぽさは感じますが、高校時代と比べて容姿はほとんど変わっていないように見えます。(特にリンなんかは高校時代のまんま)
このように映画『ゆるキャン△』では時間の経過によって生じる老いや死といった一般的にネガティブとされているものを排除しています。
だから見終わった後に「いつものゆるキャン△で安心した」と思うことができたのでしょう。
映画『ゆるキャン△』は日常系ではなく、ファンタジー
アニメ『ゆるキャン△』が日常系に分類されることに関しては皆さん異論ないかと思います。
しかし、映画『ゆるキャン△』に関しては日常系というよりファンタジーじゃないかと思う部分が多々ありました。
例えば、なでしこがショベルカーを操縦するシーンと5人がプロ顔負けの建物改修をするシーン。もう、登場人物が超人化してるんですよね。
私としてはアニメ2期にあった、キャンプ道具を揃えるためにバイトしてお金を稼ぐといった現実味のある描写が好きで尊いなと思っていたんですけど、本作ではリアリティをほとんど感じることができませんでした。
そもそも、25歳くらいの女性が5人集まって恋愛話の一つもないということがファンタジーであることを示唆していますよね。
映画『ゆるキャン△』で再認識した仕事観
キャンプ場作りがある出来事をきっかけに白紙になり、5人が離れ離れになってしまってから数日経ったある日。
なでしこがリンを山奥の秘湯に誘います。
以下、温泉に入っている2人の会話です。
なでしこ「大人だから、今だからできることってあるよね」
リン「例えば?」
なでしこ「例えば、私たちが今、楽しい!と思っていることが色んな人に伝わって、その人たちがまた次の人たちに楽しさを伝えていく。そういうことがたくさん起きるような場所を作ったりとか。私たちがやろうとしてたことって、そういうことなんじゃないかな」
キャンプを楽しむ側にいたなでしこたちが楽しさを提供する側へと向かっていく。
他者に価値を提供して喜んでもらうことが大切という基本的な考えを映画『ゆるキャン△』を通じて再認識できました。
まとめ:『ゆるキャン△』っぽい何か
映画『ゆるキャン△』を一言で表すとゆるキャン△っぽい何かというのが適切でしょうか。
『ゆるキャン△』らしさは残しつつも、アニメ版で見られた写実的な描写は少なく、ファンタジー要素の多い作品でした。
本作は新規顧客の獲得も狙っていたらしいのですが、どう考えても既存顧客向けですよね。
アニメ『ゆるキャン△』を見て面白いと感じた方は私同様、満足できると思うのでぜひ視聴してみてください!