
©「詩季織々」フィルムパートナーズ
評価:4
今回はアニメ映画『詩季織々』を見た感想を書いていこうと思います。
本作が劇場で公開されたのはわずか3週間、それも一部の劇場でしか公開されなかったため、認知度はかなり低めです。
私自身、ビッケブランカさんが歌う主題歌『WALK』を聴くまでは認知していませんでした。
しかし実際に見てみると、メッセージ性のあるとても良き映画だったので、ブログに感想を残しておこうとおもった次第です。
詩季織々のあらすじ
詩季織々は衣食住行をもとにした3つの短編から構成されています。
ちなみに3つの短編と言っても、詩季織々と同じ制作会社の作品である「秒速5センチメートル」のようにストーリーがつながっているわけではなく、それぞれが全く異なったストーリーです。
衣食住行とは
衣食住(衣服・食べ物・住居)はほとんどの人が聞いたことがあるかと思います。それに行(交通・インフラ)をくわえたのが衣食住行です。ちなみに行は広義に捉えると、「人の移動」なので、3番目のストーリー「上海恋」で、主人公・リモが実家を離れ、遠くの高校に進学したことが一番当てはまるのかなと。(最初のストーリーも故郷を離れているという点では当てはまると言えば、当てはまるんですけど、如何せんビーフン(食)の印象が強すぎるので...)
詩季織々のテーマ・メッセージ
「過去の思い出は良し悪しにかかわらず、全て自分を構成する要素の一つ。決して切り離してはいけない」
詩季織々という作品が伝えたかったことはこれなんじゃないかと私は考えています。
というのも、3つとも過去の思い出が困難を乗り越える鍵になっているからです。
- 陽だまりの朝食:大好きだったおばあちゃんが亡くなる→手作りビーフンを食べればいつでもおばあちゃんを思い出すことができる
- 小さなファッションショー:モデルとして売れなくなる→昔好きだった色の服を妹が作ってくれたおかげで自分らしさを取り戻し、再ブレーク
- 上海恋:建築プロジェクトが思うようにいかない→好きだった女の子が残してくれたテープを聴き、一念発起。自分でホテルを作る
私自身、23年間生きてきて、楽しいことばかりではなく、辛く苦しいこともたくさんありました。
ただ、そんな過去も決して自分から切り離したりせずに受け入れて生きていく。
この映画を見たことで心が少し楽になりました。
詩季織々の感想

©「詩季織々」フィルムパートナーズ
ここからは一つ一つのストーリーに対する感想を書いていきたいと思います。
陽だまりの朝食
正直に言うと、私はこの「陽だまりの朝食」というストーリーにあまり共感することができませんでした。
というのも、私は現在実家に暮らしていて、故郷を懐かしむことがないからです。
ただ、今後実家を離れ、遠くの地で暮らすことになれば、主人公・シャオミンのビーフンのように、母と足繫く通っていた定食屋のキーマカレーを懐かしむときが来るのでしょうか。
小さなファッションショー
「一緒に住んでたのに知らなかった、知ろうとしなかった」
個人的に一番響いたのは主人公・イリンの上記のセリフです。
というのも、過去の自分とこれでもかというくらいかぶっていたからですね。
約1年前、私の父親はほとんど相談なしに家を出ていきました。
今思えば、家族らしい会話をほとんどしてこなかったし、本音でぶつかり合うこともなかったと記憶しています。
だからせめて今一緒に暮らしている母には、自分の考えていることを言語化して伝えていこう、そう思いました。
上海恋
「自分の気持ちは伝えたいときに伝えなきゃ」
上海恋を見て強くそう感じました。
このストーリー、ハッピーエンドで終わっていますが、主人公が子供時代にしっかりとヒロインと向き合っていれば、もっと幸せになれたはずです。
まぁ、会えない期間が長かったからこそ「今度は絶対離れないぞ」となるのでしょうが、やはりもっと幸せな未来があったのではと考えずにはいられません。
まとめ

©「詩季織々」フィルムパートナーズ
今回はアニメ映画『詩季織々』の感想とレビューを書いていきました。
個人的には自分と重なる部分が多く、気づきも多かったので、見てよかったなと思っています。
皆さんは『詩季織々』どうでしたか?
下記のコメント欄で教えていただけると幸いです!